滅多にエラーをしない選手がエラーを連発するようになったら・・・
巨人軍時代によく経験したことだが、シーズンを通して、失策0の選手が、連発でエラーをするようになったら、それはただの疲労や精神的なものだけではない・・・ということです。監督や担当コーチだと、「どうした?どこか悪いのか?」ってすぐに状況を聞きにくるだろう。選手にとっては、エラーは痛いものだが、体がどうのとかは感じてはいないはずだ。ただ、何となく踏ん張りが利かないとか、頭の片隅に感じているのかもしれないが。
冷静沈着な、名手(名守)と言われている選手が、突然、試合でエラーを連発するなんてことを誰が想像するだろうか。もちろん、人間であるから、あり得ることだが。その状況を見て、何が起こっているのかを見抜くのがトレーナーの役目です。もちろん、担当コーチも自分の経験から考えられる原因を探ることもコーチの役目です。普段から選手のグラブさばきを見ていなければ、違いが解りません。
その試合の、その状況を見ていた私は、打球の捕球時に少し、ブレることを見つけていた。多少のブレがあっても、何とかするのがプロではあるが、やはり何とか出来る範囲を超えてしまっていると、結果としてエラーに結びついてくるのです。これは、選手自身でも、「おかしい」という焦りが出てくると、連発してしまう可能性が高くなってしまいます。選手を交代させるかどうかは、監督、担当コーチの判断であり、トレーナーはそこまでは介入していきません。
次の日に、その選手がトレーナー室に来ました
次の日に、その選手が滅多に来ないトレーナー室に来て、私が、手が空いていたので対応しました。あまりにも見ていて、切羽詰まっている状態だったら、私から声をかけることもありますが、自分から来てくれると大変助かります。前日にたぶん、◯◯がズレているんだろうなと、想像していたので、早速チェックしました。やっぱり想像通りでした。
前日の試合で、その選手が三遊間の打球を処理する時に、右足が踏ん張り切れなくて、流れてしまっていると感じていました。その場合、踏ん張れない分、1塁への送球が遅れてしまうのです。もう一度、踏ん張る必要が出てくるからです。エラーというのは、グラブに収めているのに、ポロっと球が出てしまうという状況でした。これもまた、ある原因からの連鎖として起こり得ることなのです。
その原因とは何だったのか?
たしか、右の膝関節の半月板がズレていたのです。その選手には、膝がどうのこうのとは言いません。別に言う必要がないからです。「疲労が溜まってるね」とかも言う必要がないし、まぁ、状況によっては、雑談として話すこともありますが。出来るだけネガティブな言い方はしないようにしています。選手にはポジティブに接するのです。そして、あまり雑談もせず、腰部、各関節を調整、矯正して仕上げて、「よっしゃぁ、行ってこい!」と背中を押したのです。
その後の結果はどうなったのか?
それで、その日の試合では、三遊間の深い打球も、今まで通り、見事に捕球し、ファーストで刺す!動作も完璧でした。さらに、これまた滅多にホームランを打つ選手ではないのに、レフトにどデカイホームランを打ったのです。これが、調整後の結果です。昨日のことは、何でもなかったかのように動き回っていました。いつも通りなので、監督も担当コーチも何も言う事はありません。トレーナーである私にとっては、嬉しいことであり、まぁ、自己満足に浸っていました。
膝関節の半月板がズレると何故、エラーに結びつくのか?
別に自慢するとかそういうつもりは無いのですが、今回のエラー連発の原因が、膝関節の半月板のズレだと言える(解る)人はどれだけいるのでしょうか?恐らく、ほとんどの人は、疲労が溜まっているからとか、精神的なものがあって、焦りが出たとか、そういう理由を上げるでしょう。しかし、どう考えたってそういう理由は、プロではほとんど無いのです。プロ野球の、特に一軍選手は、体も精神もかなり鍛え上げられています。敵チームのファンからのヤジにもほとんど動じることは無いのです。たとえ、疲労を感じていても、精神的なもの(例えば家族のことなど)があっても、切り替えが出来て、試合に集中することが出来るのがプロなんです。
さて、膝関節の半月板がズレてしまうと、エラーに結びついてくるのか?です。
この選手は、遊撃手(ショート)です。ポジションによっては、動きが違いますが、基本的な動きは共通しています。
ショートの動きを想像してみてください。この選手は、右膝関節の半月板のズレでした。つまり、ショートの定位置から、三遊間の打球を追って、捕球する際に右足を踏ん張ります。特に東京ドームは、人工芝ですから、実際はかなり踏ん張る時に引っかかります。当時の人工芝は滑りにくかったはずです。そういう状況で、足首、膝関節を酷使している状態なので、膝関節の半月板はズレ易くなっています。右膝関節が不安定な状態になっているわけですから、打球を捕球する際に右膝は外へ流れる(表現が難しい、つまり、開く)ので、打球を自分の中心線で捕球出来なくなるのです。必ず、捕球ポイントがズレます。まだ正面に近いものだと、少しズレてもプロなら捕球出来ます。しかし、もう少し奥、三遊間の深い位置だと、逆シングルで手を伸ばし、捕球に行きますが、これが、膝関節が不安定だと、腰が十分に落としきれずに、自分で思っているポイントにグラブが出せてない状態になるのです。だから、グラブの土手などに当ててしまうというエラーに結びついてくるのです。何となく想像出来たでしょうか?
これが、逆の二遊間だと、左膝関節はほぼ問題ないので、エラーになることはありません。
ちゃんと調整すれば、プロは不調を起こしても元に戻るのが早い
プロの選手の体は、「正しい体」です。鍛え上げられた体です。だから、「正しい体」を理解できるし、理解出来ているなら、元に戻すことも容易いのです。プロは体が資本ですから、自分自身で元に戻すことを知っています。しかし、どうしても元に戻しきれない時は、トレーナーがその歪を調整してあげるのです。そうすれば、簡単に元の状態に戻っていきます。アマチュアレベルだと、まだ自分自身の体を把握しきれていない部分が多々あります。そういう場合は、ある程度こちらから指摘してあげて、その部分を作りあげてもらいます。
調整治療した選手は、気が付いています。ちゃんと理解しています。言葉にはしませんが、ある程度は接し方で解るのです。
さて、その選手とは、川相昌弘選手でした。誰もが知る名手(名守)です。
トレーナーの仕事とは、そういうものです。
まったく表には出てきません。しかし、ある程度の自分を出す、アピールすることも必要なのです。トレーナーの地位や技術向上を目指す者として、会社にも、治療業界にも認識してもらう必要があるのです。地位が上がらなければ、技術が向上しなければ、「ただのあん摩」なのです。代えはいくらでもいると言われるのです。どうですか?自称トレーナーのみんな!ちゃんと社会から認められていますか?トレーナーの役割分担が多岐に渡るので、一概には言えませんが、トレーナーという職に就いている者として、全体の地位を上げていく努力はすべきですね。
トレーナーの立場が、監督、コーチ陣と選手とのパイプ役だと定義付けされて、そのように教育されています。また、トレーナーは、医師の処方箋通り(言われるまま)に仕事をしなければなりません。トレーナーは、体重測定係でも、雑用係でもありません。選手となぁなぁでもいけません。選手は友達ではありません。トレーナーは立派な職業なのです。
トレーナーについては、また別の記事にしていきますので、このあたりで失礼します。
まとめ
トレーナーは普段から、各選手の動き(練習中、試合中)の動きを観察しておくことです。エラーが出るようになったとか、打撃不振というスランプとか、何が原因なのかを見抜く力(技術)が必要です。疲労蓄積とかじゃなく、身体的な原因が必ずあるのです。選手からの信頼、首脳陣からの信頼を得るには、日頃から勉強をし、観察し、想像し、調べ、真摯に接することです。自分の知識をペラペラと告げても、あまり意味はありません。それは、ただ知っているだけのことで、いざ治す、調整するという技術が無ければ、信頼は生まれません。口だけだと思われているからですよ。
膝関節の半月板がズレている!とか、理解できないでしょうね。また、そのズレの治し方や、どういう状態が正常なのか?も知る必要があります。全世界では、これを理解している人は、数名でしょう。西洋医学では、皆無でしょうね。
膝関節の半月板がズレていれば、治す!こんな当たり前のことで、選手のパフォーマンスが戻り、より動けるようになったら、楽しいじゃないですか。何故、こういう技術を研究しない?何故、知ろうとしない?それを、教えたいけど、教えてくれと言ってくる人はいない!
なんかまとめになってないですね。
とにかく、「正しい体」を知ることです。選手自身もトレーナーや治療家もです。「正しい」ものを理解すれば、そこから外れているものはすぐに分かります。それを元に戻すだけです。その技術を探るのです。研究するのです。
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