落合博満選手のパーソナルトレーナーとして5年間務める
これはあまり人には言っていませんでしたが、もうかなり時が経ち、実績として記載します。
落合博満選手はプロ中のプロだと思います。自分の体はプロとしての財産であるから、それなりの調整を必要としています。自分が信用できる人間にしか、体を触らせませんでした。信頼と言うよりは、信用であり、自分の体に合った治療、調整技術が必要であったということです。
落合博満選手が巨人軍に来て、キャンプではじめて話をした時に、「誰か俺の体を診てくれるトレーナーはいないか?」と聞いてきたので、「自分がやります」と答えました。落合博満選手が巨人軍に入団の際、長嶋監督が、落合選手はまだ使えるのか?を私の父に聞いてきたらしいのです。もちろん、まだまだ使えますと答えたらしいです。その関係から、落合博満選手が私に、トレーナーはいないかと聞いてきたのです。
*長嶋監督と父(矢作義孝)との関係は、監督が現役だった頃から、ニッポン放送の深澤弘アナウンサーとの関係から、父が長嶋監督の体を調整していたという話を聞いたことがありました。長嶋監督が引退する前に、父が打撃に関して監督と話をしたそうです。監督が引退後に、この矢作式打撃理論を「これだ!」と言っていたそうです。この打撃理論が、松井秀喜選手などに受け継がれていったのです。そういう関係から、落合選手がFAで巨人が獲得したいと表明する前に、長嶋監督が父に聞いてきたのです。余談ですが、長嶋監督は、私のことを”ジュニア”と呼んでいました。つまり、そういうことです。
隠れパーソナルトレーナー始める
それから、ほぼ毎日、落合博満選手のパーソナルトレーナーになったのです。これは、当時、誰にも言っていませんでした。同僚のトレーナーにも、首脳陣にも、会社にもです。ただ、落合選手の担当記者さんたちが、落合選手の自宅前で待っている時があったので、記者さんたちは知っていたでしょう。
球場のトレーナー室で調整することもたまにありましたが、ほとんどは、試合後、落合選手の自宅に戻ってからの調整でした。私が先に球場を出て、落合選手の家に向かい、帰宅するのを、家の前で待っているという日常でした。私は結婚し、まだ幼児である娘がいたのですが、ほとんど家にいませんでした。まぁ、つらい日々ではあったのですが、仕事ですから。
その年の6月に、二軍へ行けという命令(トレーナーの入替え)が降り、二軍での生活となりました。これがまた大変なものでした。
二軍は、朝の10時から練習・・・夕方に終わり、落合選手の家の前で、車の中で仮眠です。一軍の試合が終わるのを、仮眠しながらラジオで聞いていたのです。早くて23時、長引くと1時とかに帰宅されるので、その後、調整して、家に帰るのが3時とか4時になり、シャワーを浴びて、仮眠し、6時には起きて、7時には家を出るという生活!でした。
二軍の遠征の時は、もっと厳しかったです。日ハム鎌ケ谷とか、袖ヶ浦とか・・・試合後に落合選手の家の前まで行って、寝るの生活!
誰にも言っていない関係で、大変だとは言えませんでした。
そんな生活が、3年・・・オフの時と、一軍が遠征の時は、通いはないのでマシでしたが・・・落合選手が日ハムに移籍した後でも、引退するまでの2年間は、通っていました。落合選手が帰られる時間が遅いので、途中からですが、信子夫人もみることになりました。
パーソナルトレーナーとして、落合選手との関係は?
パーソナルトレーナーなら、誰でも有名選手と関わりを持ちたいと思うだろうし、羨ましいとも思うだろう。やってみたいと思うだろう。何を思い、選手と親しくなりたいとか、そういう想像をする人もいるだろう。しかし、パーソナルトレーナーは、友達でも、家族でもありません。プロとプロの仕事上のパートナーというだけで、他には何もないのです。親しい関係を望むこと自体、おかしな関係となるのでやってはいけないことです。私が経験した5年間で、落合選手(家族含む)とは食事を伴にしたことも、特別な待遇をしてもらったことも、一切、ありません。こんなことは当たり前です。信子夫人には、気を使って頂きありがたく思います。また、福嗣君とは、たまに遊び相手になってました。
これは、パーソナルトレーナーとしての立場だけでなく、チームのトレーナーとしても同じことなんです。選手との関わりは一切、ありません。選手は、友達ではありません。トレーナー同士の、いわゆる同僚としての立場だと、ある程度の付き合いはあるわけですが、そこに選手は交えません。それがプロの考え方です。
落合選手曰く、巨人軍には、俺の体に合うトレーナーは、私と、長橋トレーナーだけだと言っていました。プロ中のプロの落合選手が言うのですから、いい手をしているのでしょう。長橋君、がんばれ!他のトレーナーも、自らの技術の向上を研究し、調べて、もっと上を目指してもらいたい。
5年間を振り返り・・・
さすがに、5年というのは長いのか短いのか・・・最後は、かなりうつ状態になっていたことを思い出します。ほとんどまともな睡眠をとっていなかったし、家族との対話も少なく、かなりのストレスだったのかもしれません。
しかし、この5年間の経験は、とても貴重なものであり、落合博満選手、信子夫人、福嗣くんにも感謝しかありません。
今の状況でこのようなことは出来ないでしょうね。それだけの体力がもうありません。・・・・・
とにかく、何か特別なご要望があれば、検討いたしますのでご相談ください。パーソナル契約も都合が合えば、受付ます。
落合博満の公式YouTubeチャンネル! 野球解説者でもおなじみの落合が野球の技術論や球界にまつわる話、 現役・監督時代のエピソードなどを赤裸々に発信! ここだけの本音トークを配信していきます!
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